コラム
食事と学力の関係
健康な食習慣と環境が「学ぶ土台」を作ります
子どもの学力や学習習慣の形成において、日常の「食事」は重要な役割を担っています。本記事では、統計データや脳科学的な観点から食事と学力の関連性を整理し、地域社会における子ども食堂の役割と私たちの取り組みについて解説します。
食事と学力の関係
食事の習慣と学力の間には、強い相関関係があることが複数の調査から示されています。
文部科学省が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」によると、「朝食を毎日食べている」児童生徒と、「全く食べていない」児童生徒を比較した場合、毎日食べている層の方が各教科の平均正答率が高い傾向が継続して見られます。
特に象徴的なデータとして、令和元年度(2019年度)の調査結果が挙げられます。中学校3年生の「数学」において、朝食を「毎日食べている」生徒の平均正答率が62.5%であったのに対し、「全く食べていない」生徒は44.9%にとどまり、実に17.6ポイントもの大きな開きが生じています。
また、同年度の小学校6年生の「算数」においても、毎日食べている児童(68.1%)と全く食べていない児童(51.6%)の間で16.5ポイントの差が報告されています。
調査年度や教科によって数値の変動はありますが、概ね10〜15ポイント以上の明確な差が生じ続けており、食事という生活基盤の有無が、本人の努力ではカバーしきれない学力差の引き金になっていることが客観的な数字から読み取れます。

健康的な食習慣は、日々の「学ぶエネルギー」を作り出します。
睡眠中に消費された脳のエネルギー源であるブドウ糖を朝食で補給することで、脳の活動が活発になります。
また、咀嚼(噛むこと)による脳の血流増加や、決まった時間に食事を摂ることによる体内時計のリセットなど、身体的なリズムが整うことが、午前中からの集中力向上につながります。
さらに、栄養状態が安定することは、セロトニンなどの神経伝達物質の分泌を促し、情緒の安定にもつながることで、落ち着いた状態で勉強に臨むことにつながります。
健康的な食習慣が「学ぶエネルギー」を作る
脳を適切に働かせるためには、どのような食事を摂るかが重要になります。
どのような食事が子どもたちに良いのか
脳の主なエネルギー源となる炭水化物(ご飯やパンなど)に加え、脳の神経伝達物質の材料となるタンパク質(肉、魚、大豆製品など)、それらの代謝を助けるビタミンやミネラル(野菜、海藻類など)をバランス良く摂取することが推奨されています。
また、青魚に多く含まれるDHAやEPAは、脳の神経細胞を構成する成分として知られています。
つまり「ごはん、みそ汁、納豆に加えてサバやサンマなど」といった典型的な和食をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
和食以外の組み合わせであれば、「パン、目玉焼きやオムレツ、具沢山の野菜スープ」といった献立も効果的です。卵には、記憶や学習に関与する神経伝達物質の材料となる「レシチン(コリン)」が豊富に含まれています。
また、スープにすることでカサが減り、脳の代謝を助けるビタミンやミネラルを含む多様な野菜を効率よく補うことができます。
一方で、以下のような食事は記憶力や集中力を低下させる可能性があります。
極端に糖質の高い食品(スナック菓子や甘いジュースなど)を空腹時に大量に摂取すると、血糖値が急激に上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」を引き起こすことがあります。
この血糖値の乱高下は、強い眠気や集中力の途切れ、イライラ感の原因となります。また、ジャンクフード等に偏った食事は、脳の働きに必要なビタミンやミネラルが不足しやすくなります。 こうした糖質の高いスナック菓子やジュースは依存性の高さも報告されていますので子どもに与える場合は適度に量や頻度を決めておくことがよいかと思います。
食事を取る環境
何を食べるかも大切ですが「誰かと一緒に食べる」という環境も、子どもに影響を与えます。
農林水産省の食育白書等でも指摘されている通り、家族や地域の人など誰かと食卓を囲む共食の習慣がある子どもは、一人きりで食べる(孤食)子どもに比べ、規則正しい食生活が身につきやすい傾向があります。また、食事を通じた会話は、子どもに安心感を与え、精神的な安定をもたらす効果があるとされています。
実際に、国内の小中学生を対象とした調査や学術研究でも、環境による心理的な差が数値として表れています。誰かと一緒に食事をする頻度が高い子どもほど「自分の悩みごとを相談できる人がいる」と回答する割合が高く、自己肯定感や生活への満足度が向上する傾向が見られます。
反対に、「孤食」の頻度が高い児童生徒は、共食の習慣がある児童生徒と比較して、「イライラしやすい」「気分の落ち込みがある」といったメンタルヘルス上の不調(抑うつ傾向や無気力感)を抱える割合が有意に高いことが複数の研究で報告されています。

「食卓を囲む」という行為は、単なる栄養補給の場ではなく、ストレスの緩和や孤独感の解消に直結する重要なコミュニケーションのインフラであることが客観的なデータからも読み取れます。
学ぶ習慣がどのように育まれるか
食事の場を含む日常的な環境において、心理的安全性が確保された空間で他者とコミュニケーションを取ることは、子どもの社会性を育む基盤となります。
失敗を咎められず、自分の話を聞いてもらえる安心感の中で、子どもは自制心ややり抜く力、他者と協調する力といった「非認知能力」を身につけていきます。この非認知能力の土台が形成されることで、未知の事柄に対する好奇心や、机に向かって継続的に学習に取り組む意欲が自然と育まれていきます。
国立教育政策研究所や文部科学省の調査データからも、こうした要素と学力の関連が裏付けられています。例えば、「全国学力・学習状況調査」において「難しいことでも最後までやり遂げようとしている(忍耐力・やり抜く力)」と肯定的に回答する児童生徒ほど、各教科の平均正答率が明確に高い傾向が毎年示されています。
また、「家の人と学校での出来事について話をしている」といった、日常的に安心できるコミュニケーションが確保されている児童生徒も同様に高い正答率を記録しています。

教育経済学などの学術分野においても、自制心や自己肯定感といった非認知能力は、安心できる大人との持続的な関わりの中で育まれ、のちの学力向上を根底から支える強力な要因になることが実証されています。
この非認知能力の土台が形成されることで、未知の事柄に対する好奇心や、机に向かって継続的に学習に取り組む意欲が自然と育まれていきます。
だから、子ども食堂が効果的である
これらの理由から、私たちは「子ども食堂」の運営を効果的な支援の場と考えています。
私たちが運営する子ども食堂は、食事を提供するだけでなく、学習環境も整えていることが特徴です。栄養のある食事によって身体的な基盤を作り、同時に学習に取り組める空間を用意しています。

また、子ども食堂という場では、地域の大人との関わりや、異年齢の子ども同士の交流など、多様なコミュニケーションが生まれます。私たちは、この食卓や学習の場を通じた相互作用を「共育(きょういく)」と呼び、子どもの非認知能力と社会性を育む重要な機会と位置づけています。
佐賀県内の子ども食堂への「学習教材・タブレット」無償貸与
すべての子どもに均等な学習機会を提供するため、私たちが運営する施設にとどまらず、佐賀県内の他の子ども食堂に対しても「学習教材」と「タブレット端末」の無償貸与を行っています。
これにより、地域のインフラとして機能している各地の子ども食堂が、食事の提供だけでなく、手軽に質の高い学習支援を併せて行える環境づくりをサポートしています。
ふるさと納税で子どもたちの未来を応援しませんか?
私たちが提供するこれらの学習支援や子ども食堂の運営は、皆様からのご支援によって成り立っています。
一般社団法人Next Educationは、佐賀県のふるさと納税指定先CSO(民間非営利組織)として採択されています。 これは通常のふるさと納税と同じ制度であり、他の自治体への寄付と同様に返礼品をお受け取りいただけます。返礼率や税額控除の条件も他自治体と変わらず、寄付者様に不利な点はございません。
皆様からのご寄付は、子どもたちが健康な食事をとり、安心して勉強する土台を用意するための活動(食事の提供、学習教材やタブレットの配備など)に直接的に活用されます。県外からの応援をご検討いただける方は、ぜひこちらからふるさと納税を通じたご支援をお願いいたします。
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